本庄から見える山を全部登りたい、何十年もそう思い続けてきた。故郷本庄を慕い続けたころからだが、本庄に帰ってきて実際に山が目の前に姿を見せるようになってから特にその思いは強くなった。山が招いているようでもあり、その招きに応えずにいることが何か濟まない気持になってきたのでもある。
本庄台地を北に下った田んぼの中から山が見渡せる。東は筑波山から始まって、日光の山塊、庚申山と袈裟丸山、赤城山(黒檜・地蔵・荒山・鍋割)、子持山、間に谷川岳と白毛門・笠ヶ岳、仙の倉、手前に小野子山と十二ヶ岳、奥に白砂山と堂岩山、手前に榛名山、左奥に草津白根、手前に笹蒔山、浅間隱山、角落山と剣の峰、鼻曲山、留夫山、一の字山、上に大きく浅間山と剣が峰、妙義山(白雲・相馬・金洞・金鶏)、物見山、荒船山と経塚山、牛伏山、赤久縄山、西・東御荷鉾山、雨降山、父不見山、両神山、甲武信岳と両脇に三宝と破不山,雁坂嶺、手前に城峰山、向こうに白石山、手前に陣見山と十二天奥に外秩父。
ある晴れた秋の日、わたしはスケッチブックを手にしてでかけ、山の名を一つずつ確認しながらスケッチしてみた。これはうれしい作業だった。コピーしてつなげてみると、私があれほど慕ってきた山がすべて私の手元に置かれることとなった。私はそれらをつなげて一枚として部屋に貼ってみた。